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よくある質問

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相続放棄の意思表示を無効とできる?

 


相続放棄については、民法によって、取消しについては規定があります。

詐欺や脅迫など民法に取消規定がある内容で相続放棄が取り消せるという内容です。

これに対して、意思表示の取消ではなく、無効については規定がありません。

しかし、相続放棄は同じように法律行為なので、意思表示の無効の主張も認められるべきです。

 


相続放棄が無効だと主張する方法

取消については、家庭裁判所に申立ができる制度があります。

相続放棄と同じように、取消についても審判があります。

この取消審判を使って、相続放棄の無効の主張をすることは認められていません。

裁判例でも否定されています。

 

では、個別に、相続放棄の無効確認訴訟ができるかというと、最高裁はこれも否定しています。

このような訴えは、被告が請求の認諾をしても効力を生じないとまでしています。

最判昭和30年9月30日。

「確認訴訟は、特段の規定のないかぎり、特定の権利又は法律関係の存在又は不存在の確認を求める訴である。本件において上告人(原告)等は、その請求の趣旨として「原告等が昭和二五年八月二三日にした岡山県川上郡a村大字b番地被相続人Aの相続放棄は無効とする」との判決を求めたこと、そして、その訴旨は、右のごとき趣旨の確認判決を求めるものであることはその主張自体から明らかであるにかかわらず、当該相続放棄の無効なるに因つていかなる具体的な権利又は法律関係の存在、若しくは不存在の確認を求める趣意であるかは、明確でないのである。相続のごとき複雑広汎な法律関係を伴うものについて、本件確認の対象となるべき法律関係は、少しも具体化されていないのである(もとより、全般的にかかる相続放棄無効確認の訴を許す特別法規も存在しない。)。すなわち、かかる確認の訴は、適法な「訴の対象」を欠くものといわざるを得ないのであつてかかる上告人(原告)の請求に対し本件第一審若しくは原審の口頭弁論期日において、被上告人(被告)特別代理人が「原告請求通りの判決を求める」旨の陳述をしたからといつて民事訴訟法上、「請求ノ認諾」たる効力を生ずるに由ないものといわなければならない。」


そのため、個別の相続財産に関する権利義務の紛争の中で、相続放棄が無効であると主張していくことになるでしょう。

 

相続放棄と心裡留保・通謀虚偽表示

意思表示の無効原因には、心裡留保や通謀虚偽表示があります(民法93条、94条)。

ただ、多くの契約などの意思表示とは違い、相続放棄は相手方のない意思表示で、単独行為とされます。

家庭裁判所に対する申述でなされるだけなので、原則として、相手方がいることを前提とする心裡留保や通謀虚偽表示で無効にはならないとされています。

ただ、心裡留保において、意思表示の相手方ではなく第三者でも、その意思表示が真意でないことを知っている者に対しては、無効を主張できるという考え方があります。また、通謀虚偽表示の分野でも、共有持分の放棄の際に民法94条の類推適用を認めた判例があることから、相続放棄でもこれを理由に無効を主張できるとする考えもあります。

裁判等で心裡留保や通謀虚偽表示による無効を主張する場合には、これらの考え方を援用することになるでしょう。

 

 

相続放棄と錯誤無効

心裡留保や通謀虚偽表示の無効は、相続放棄で主張できるのか疑問を持たれますが、錯誤無効については主張ができるとされています。

最高裁でも、これを前提にした判断があります。

最判昭和40年5月27日。

「相続放棄は家庭裁判所がその申述を受理することによりその効力を生ずるものであるが、その性質は私法上の財産法上の法律行為であるから、これにつき民法95条の規定の適用があることは当然」


 

動機の錯誤

錯誤無効の主張が認められるかどうかのポイントの一つに動機の錯誤があります。

動機の錯誤が要素の錯誤に該当し無効だと認められるには、その動機が表明されたり、表明されるのと同様の事情が
必要だとされます。

 

そこまでいかない動機の錯誤は無効であるとの主張が否定されます。

最判昭和30年9月30日。

「本件相続放棄の結果、被上告人の相続税が上告人等の予期に反して多額に上つた等所論の事項は、本件相続放棄の申述の内容となるものでなく、単なる動機に関するものに過ぎないことは、原判示のとおりであるから、かかる場合に民法九五条の規定は適用のないものとした原判決は正当であつて、論旨は理由がない。」

相続税が思ったより高かったという錯誤は動機の錯誤に過ぎない。

 

東京高判昭和63年4月25日。

「相続放棄という制度が、遺産の債務超過等の場合に推定相続人に当該遺産の相続を拒否する自由を与えるものであることは、疑いをいれないが、その機能においては、現に特定の共同相続人に遺産を集中的に承継させるため、多く利用されていることを無視することはできない。そうであるとすれば、相続放棄が特定人に遺産を承纒させを意図でなされた場合、かかる相続放棄の結果、客観的、最終的に誰が相続人になるかは、当該相続放棄者にとって本質的に重要なものというべきである。もっとも、かかる場合、相続の放棄をした結果、自己が相続人でないものとして扱われるという限度においては、当該放棄者の内心の意図と表示との間に不一致は存しないのであるから、本件のように、当該放棄の結果、法律上正当な相続人として認められるべき者が誰であるかに関する錯誤は、相続放棄をするに至った動機に存するものといわざるを得ないが、相続放棄が講学上いわゆる相手方のない単独行為である点に着目するならば、かかる動機は、少なくとも相続放棄の手続において表示され、受理裁判所はもとより、当該相続放棄の結果反射的に影響を受ける利害関係者にも知り得べぎ客観的な状況が作出されている場合においては、表示された動機にかかる錯誤として、民法九五により当該放棄の無効が認められるものと解するのが相当である。
 これを本件についてみるに、前記認定のとおり、被控訴人が相続の放棄をした場合には一郎の遺産は真実はハナがすべて相続することになるにも拘わらず、被控訴人は、一郎の弟や妹にその遺産を承継させる意図の下に、この意思を東京家庭裁判所における審問の中で明確にしたうえ、相続放棄の申述をしているのであるから、被控訴人がした本件相続放棄の意思表示は、民法九五条にいう法律行為の要素に錯誤がある場合に該当するものといわざるを得ない。」

兄弟に相続財産を取得させたいと考えて、相続放棄をしたところ、実は被相続人に他の子がいて相続財産が兄弟に取得させられないことになったので、錯誤を主張したものです。

家裁への申述の際に、この動機が表示されていたこともあり、錯誤無効を認めています。

 

もうひとつ。高松高判平成2年3月29日。

「右認定事実によると、本件相続放棄申述当時の参加人法定代理人春子の内心の意思は、太郎の遺産としては住宅ローン残債務約一〇〇〇万円のある太郎の居住建物及びその敷地以外にみるべき積極財産がなく、本件損害賠償債権が相続対象となるとの認識がなく、三〇〇〇万円に及ぶ多額の債務を参加人を含む子らが支払わなければならないから、その相続を放棄するというものであったが、実際にはそれ程多額の債務は存在せず、又、多額の本件損害賠償債権があったのであるから、右内心の意思と申述との間に錯誤があり、その不一致は重要な部分にあるから、本件相続放棄は要素の錯誤により無効であるといわざるを得ない。」

財産額の認識について錯誤無効を認めたものです。

こちらのケースでは、家庭裁判所へは動機が表示されていなかったものの、利害関係人に表示されていたとして錯誤無効が認められています。

 


 

 

相続放棄の意思表示の無効

相続放棄が、もし相続人の意思に基づかずにされたような場合には、無効です。

たとえば、相続放棄の申述書が勝手に署名押印をされ、相続放棄の意思がないような場合は、無効です。

ただ、このような相続放棄の意思表示でも、法的には追認を認める余地があり、追認された場合には有効とされる考え方もあります。

 

 


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