
よくある質問
相続放棄前の財産の管理方法は?
相続放棄の相談で多いのが、相続放棄をする前の熟慮期間中に、相続財産をどう管理すればよいのかという相談です。
下手な動きをしてしまうと、単純承認したものとみなされてしまい、相続放棄が無効になってしまう時期です。
相続放棄前の財産管理方法はしっかりチェックしておきたいところです。
固有財産におけるのと同一の注意
熟慮期間中、相続の承認や放棄がなされていない時期には、相続財産は誰に帰属するのか曖昧な状態です。
相続財産は、一応相続人の管理下に置かれています。そのうえで、相続債権者や受遣者のため、その固有財産におけるのと同一の注意をもって相続財産を管理する義務が相続人にはあります(民法918条1項)。
自分の財産と同程度の注意をしなければならないという規定です。
相続放棄後の管理義務
相続の放棄をした者は、相続放棄によって相続人となった者が管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって相続財産の管理を続けなければならないとされています(民法940条1項)。
相続放棄をしても、後順位の相続人や相続財産管理人が出てくることがあり、その引き継ぎまで、自分の財産と同程度の注意義務は残ります。
本来、相続放棄は、相続と無関係になる制度ではありますが、誰も管理しなくなると、不利益を受ける人も多いため、このような規定が設けられています。
管理義務については、委任契約における受任者の報告義務(民法645条)、受任者の受取物の引渡義務(民法646条)、管理に必要な支出をした際の費用償還請求権の規定(民法650条1項・2項)が準用されます。
相続放棄前の財産処分
相続放棄前に、相続財産を処分したときは単純承認をしたものとみなされます(民法921条1号)。
現実には、「管理」なのか、「処分」なのかが分からず、法律相談に来る人も多いです。
財産管理人の選任
相続人による管理が不適任であったり、相続人の所在が不明であるときには、利害関係人又は検察官の請求で、家庭裁判所は、いつでも相続財産の保存に必要な処分を命ずることができます。
ここで財産管理人が選任されることもあります。財産管理人が選任された場合には、不在者のための財産管理人の規定が準用されます(民法918条3項、27条~29条)。
このような財産管理人が選任された場合、相続人自身の管理権は制限されると言われます。
ジン法律事務所弁護士法人では、相続放棄、詐害行為取消も取り扱いがありますので、こちらをご希望の方はご相談ください。