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よくある質問

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Q.相続放棄後に財産処分をした場合は?

 

相続放棄をした場合、相続財産の処分権限はありません。

それにもかかわらず、財産処分をした場合には、単純承認したものとみなされます。

民法921条3号

「相続人が、限定承認又は相続の放棄をした後であっても、相続財産の全部若しくは一部を隠匿し、私にこれを消費し、又は悪意でこれを相続財産の目録中に記載しなかったとき。」

これは不正行為への制裁という趣旨で、単純承認したものとみなす制度とされます。


相続財産の隠匿

隠匿とは、一般的には隠す行為です。

裁判例では、隠匿とは、相続人が被相続人の債権者等にとって相続財産の全部又は一部について、その所在を不明にする行為だと定義するものもあります。

 

東京地判平成12年3月21日。遺品の持ち帰りにより、単純承認とされた事例です。

「同条三号の規定する相続財産の「隠匿」とは、相続人が被相続人の債権者等にとって相続財産の全部又は一部について、その所在を不明にする行為をいうと解されるところ、相続人間で故人を偲ぶよすがとなる遺品を分配するいわゆる形見分けは含まれないものと解すべきである。また、同号に該当するためには、その行為の結果、被相続人の債権者等の利害関係人に損害を与えるおそれがあることを認識している必要があるが、必ずしも、被相続人の特定の債権者の債権回収を困難にするような意図、目的までも有している必要はないというべきである。」

「被控訴人は、納戸に保管されていた夏子のスーツ等の一部、六畳間の洋服だんすに保管されていた毛皮のコート三着とカシミア製のコート三着、下駄箱に保管されていた靴の一部及び絨穂を持ち帰った。
3 二度目の遺品持ち帰り
 被控訴人は、夏子の遺品をすべて持ち帰ることができなかったことから、運送業者二名を手配し、平成九年一二月一三日、妹の訴外戊田ハル(以下「ハル」という。)、訴外富田弘子とともにマンションに赴いた。その際、太郎の知人である高浜が立ち会った。被控訴人は、鏡台、残っていた洋服、靴のほとんどすべてを持ち帰った。」

「民法九二一条三号に該当するか否かの判断に際しては、その行為の結果、相続財産の所在を把握できなくなる等、被相続人の債権者等に損害を与えるおそれがあるか否かという点が重要であるから、被控訴人が遺品を持ち帰ることを太郎の遺族が了解しているからといって、被控訴人の遺品持ち帰り行為が同号に当たらないということにはならないというべきである。
 (二) 被控訴人は、夏子に少なくとも二〇〇万円の負債があることを知りながら、二度にわたり、一定の財産的価値を有する夏子の遺品のほとんどすべてを持ち帰っているのであるから、右持ち帰り行為が、客観的にみると夏子の債権者等に損害を与えるおそれがあることについての認識は有していたことが推認される。そうすると、被控訴人による遺品持ち帰りが、自分が夏子の相続財産を引き取らない限り、すべて廃棄されてしまうことになって忍びないという被控訴人の母親としての心情によったものであり、被控訴人が夏子の特定の債権者の債権回収を困難にするような意図、目的を有していなかったとしても、民法九二一条三号の主観的要件は満たしているというべきである。
したがって、 控訴人の遺品持ち帰り行為は、民法九二一条三号の相続財産の隠匿に該当するものと評価するほかないから、被控訴人は単純承認したものとみなさざるを得ない。」

 

 

相続財産を私に消費すること

古風な表現ですが、「私に消費する」とは、自分のほしいままに相続財産を処分して原形を失わせることをいうとされます。消費とは、処分や使ってなくすことです。


消費につき正当事由がある場合、「私に」消費したことにはなりません。

 

相続財産を悪意で目録に記載しない行為

相続放棄の際には、財産目録は作る必要がありませんので、この規定が問題いなるのは、限定承認です。

「悪意」の定義は、この条文に限らず、争いになります。

ここでも、単に相続財産に属することを知っていることを示すのか、相続財産を隠匿する意思まで必要とするか争われており、裁判例も分かれています。

悪意の立証責任については、限定承認の無効を主張する側、単純承認だと主張する側が負うとされています。

 

ここでいう相続財産には、マイナスの財産も含まれます。

すなわち、借金を記載しなかったことも含まれるのです。

限定承認では、このような行為も相続債権者の利益を害することになるからだとされます。

最判昭和61年3月20日。

「民法九二一条三号にいう「相続財産」には、消極財産(相続債務)も含まれ、限定承認をした相続人が消極財産を悪意で財産目録中に記載しなかつたときにも、同号により単純承認したものとみなされると解するのが相当である。けだし、同法九二四条は、相続債権者及び受遺者(以下「相続債権者等」という。)の保護をはかるため、限定承認の結果清算されるべきこととなる相続財産の内容を積極財産と消極財産の双方について明らかとすべく、限定承認の申述に当たり家庭裁判所に財産目録を提出すべきものとしているのであつて、同法九二一条三号の規定は、右の財産目録に悪意で相続財産の範囲を偽る記載をすることは、限定承認手続の公正を害するものであるとともに、相続債権者等に対する背信的行為であつて、そのような行為をした不誠実な相続人には限定承認の利益を与える必要はないとの趣旨に基づいて設けられたものと解されるところ、消極財産(相続債務)の不記載も、相続債権者等を害し、限定承認手続の公正を害するという点においては、積極財産の不記載との間に質的な差があるとは解し難く、したがつて、前記規定の対象から特にこれを除外する理由に乏しいものというべきだからである。」

 

 

 

相続人が未成年者や被後見人である場合に法定代理人がやったら?

相続人が未成年者や被後見人だった場合に、法定代理人が、このような財産処分、隠匿等をしたらどうなるでしょうか。

この点については、法定代理人である以上、本人に効果が及ぶと考えられるため、単純承認の効果が発生してしまうとされています。

法定代理人が相続放棄をしても、このような隠匿行為があった場合には、未成年者に単純承認効果が発生し、相続放棄は無効になってしまいます。

 

限定承認と一部の相続人の行為

限定承認は、相続人全員でおこなう必要があります。

複数の相続人で、限定承認をした後、共同相続人中の一人が財産の私的消費などの背信的行為をした場合にどうなるのでしょうか。一人の相続人にだけ単純承認の効果が発生するとすると、全員でしなければならない限定承認がおかしなことになってしまいます。

そのため、限定承認の効力は維持されるという結論になります。

他の共同相続人の利益を保護する結論です。

ただ、そのような背信的行為をした相続人に対して、相続債権者は責任を追及できます(民法937条)。

 

限定承認前の一部の相続人の行為

さらに、限定承認前に、一部の相続人だけが本条に該当する場合もあります。

共同相続人中の一人が相続放棄をし、他の共同相続人がまだ熟慮期間中に、相続放棄をした一人が背信的行為をした
場合です。

この場合、その人は単純承認したものとみなされてしまいます。

そうすると、他の共同相続人は、限定承認をすることができなくなってしまいまそうです。

限定承認は、全員でする必要があるので、一人が単純承認すると使えなくなる制度です。

 

たとえば、相続人A,B,Cの3人がいるとします。

最初から3人で限定承認をする方法はあります。

このうち、Aが単純承認すると、B,Cは限定承認できません。

Aが相続放棄をした場合は、相続人ではなくなるので、B,Cは2人で限定承認できます。

今回のケースだと、B,Cの2名は限定承認ができる、と考えて申述しようとしたところ、Aの背信的行為により、Aは単純承認とみなされてしまいます。

そうすると、限定承認はできなさそうにも思えます。

 

この問題に関しては、結論が出ておらず、考え方が分かれています。

理論的には限定承認ができないと考える説と、他の相続人が限定承認をしたうえで、債権者は、民法937条の類推適用で背信的行為をした相続人に請求できるという説です。

 

次順位の相続人が単純承認したら?

第一順位の相続人が相続放棄した場合、次順位の相続人に権利は移ります。

次順位の相続人が単純承認した後に、第一順位の相続人が背信的行為をした場合はどうなるでしょうか。

この場合は、ただし書きにより、単純承認の効果は生じません。

「三  相続人が、限定承認又は相続の放棄をした後であっても、相続財産の全部若しくは一部を隠匿し、私にこれを消費し、又は悪意でこれを相続財産の目録中に記載しなかったとき。ただし、その相続人が相続の放棄をしたことによって相続人となった者が相続の承認をした後は、この限りでない。」

背信的行為により相続財産に損害が出ているのであれば、単純承認した相続人は、背信的行為をした相続人へ損害賠償請求ができることになります。

 


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