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よくある質問

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Q.相続財産不存在の制度とは?

 

相続放棄をして、相続人がいなくなると、次順位の相続人に移っていきます。

第二順位の相続人が全員相続放棄をすると、第三順位の兄弟姉妹へ。

そこでも全員が相続放棄をすると、相続人がいなくなります。

この状態を相続人不存在といいます。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2021.7.29

相続財産法人

このように相続人が誰もいなくなった場合や、相続人の存否が不明のときには、相続財産の管理が不十分になります。

このような場合に、財産を管理したり、相続人がいないのであれば、相続財産を清算する必要があります。

そこで、相続人不存在の制度をつくり、相続財産管理人を選ぶ手続きができたのです。

 

民法では「相続人のあることが明らかでないときは、相続財産は、法人とする」(951条)とされています。

これを相続財産法人と呼びます。

法人というと、会社をイメージする人が多いでしょうが、このような財産を法人のように擬制することもあるのです。

 

相続人が不存在のため、相続財産は誰のものなのか帰属主体がなくなります。そうすると一連の手続き、債権者への弁済であったり、国庫への帰属などをする主体が誰なのか疑問が生じます。

そこで、相続財産そのものを法人として、主体性を認めた制度です。

この相続財産法人の成立は、相続時に起きます。手続をしなくても成立します。しかも、公示の方法もとられません。そこで、法人の成立が外部に対してはっきりと分かるのは、相続財産管理人が選任された時となります。

 

相続財産法人には、相続財産管理人を置きます(民法952条)。

相続財産管理人が、相続人不存在時の一連の手続きをおこないます。

ただ、その主体は相続財産法人なので、不動産の登記名義を変えるような場合は、相続財産管理人名義ではなく、相続財産法人名義となるのです。

 

相続人のあることが明らかでないとき

相続人については、戸籍で確認します。

戸籍上で相続人が存在しない場合や、最終順位まで相続人が全員相続放棄した場合にも、「相続人のあることが明らかでないとき」になるとされます。

戸籍上の記載以外も相続人が存在する可能性はないわけではありません。

認知していない子がいるなどの可能性もあります。

そこで、相続人不存在制度では、相続人を捜索するという手続きが含まれるのです。

 

包括受遺者がいる場合は?

戸籍上の相続人は存在しないものの、包括受遣者がいる場合に「相続人のあることが明らかでないとき」だとして、相続財産管理人の選任等がされるかどうかが問題になります。

包括受遺者は、遺言により相続人と同一の権利義務を持つことになります。

この点、考え方が分かれているのですが、包括受遺者は相続人と同じ立場にあることから、「相続人のあることが明らかでないとき」の要件は満たさない、相続人不存在とは扱わないとするのが裁判例の考え方です。

 

最判平成9年9月12日。

遺言者に相続人は存在しないが相続財産全部の包括受遺者が存在する場合は、民法九五一条にいう「相続人のあることが明かでないとき」には当たらないものと解するのが相当である。けだし、同条から九五九条までの同法第五編第六章の規定は、相続財産の帰属すべき者が明らかでない場合におけるその管理、清算等の方法を定めたものであるところ、包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有し(同法九九〇条)、遺言者の死亡の時から原則として同人の財産に属した一切の権利義務を承継するのであって、相続財産全部の包括受遺者が存在する場合には前記各規定による諸手続を行わせる必要はないからである。

 

認知の訴え等の裁判中の場合は?

戸籍上の相続人はいないものの、認知の訴え、離婚の無効確認訴訟など、身分関係に影響がある訴訟が起こされている場合にどうするかは問題になります。

この場合、相続財産管理人が選任されるとしても、清算手続までしてしまうと、後日、相続人が現れ法律関係を複雑にするおそれがあることから、訴訟の確定を待つべきで、相続財産の管理だけをするべきものとされます。

 

相続人が行方不明の場合

相続人が存在するけど、行方不明や生死不明という場合には、相続人不存在の制度は使えません。

この場合、不在者財産管理人の選任や失踪宣告による対応とすべきでしょう。

東京高決昭和50年1月30日。

「民法第九五一条にいわゆる「相続人のあることが明らかでないとき」とは相続人の存否不明をいうのであって、相続人の生死不明又は行方不明等は含まれないものと解するを相当とする」

 

相続財産法人の消滅

相続財産法人は、相続人のあることが明らかになったときは、法人は存在しなかったものとみなされます(民法955条本文)。

相続財産法人は遡って消滅することになるのです。

相続人が現れた以上、相続財産は相続人が承継していたことになります。

そのため、相続財産法人は不要とされ、当初から存在しなかったものとみなされるのです。

相続人が発見されたケースのほか、身分関係の裁判が確定し、相続人の立場となる人が現れたときも同様です。

 

相続財産法人が遡って消滅するということは、相続財産管理人もその権限がなくなることになります。

ただ、相続財産管理人がいろいろな法律行為をしていた場合、これが無効になると法律関係が不安定になります。

そのため、相続財産法人が消滅しても、相続財産管理人が、それまでに権限内でした行為の効力は妨げられないとされています(民法955条ただし書)。

 


 

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