よくある質問
Q.相続放棄と自宅保証人の責任は?
親や兄弟が自宅を借りる際の賃貸借契約の連帯保証人になることはあると思います。
そのような親や兄弟が多額の借金を残して亡くなった場合、相続放棄をしたいと通常は考えます。
そこで、この家を借りた自宅の保証人としての責任をどうすべきが問題になります。
財産を処分すると単純承認に
自宅を借りた際の賃貸借契約では、連帯保証人になるため、大家さんからは保証人として未払家賃の請求や明渡を求められます。
その際、自宅にある動産を処分して自宅を明け渡すと、相続放棄の際の単純承認になってしまうのではないかと心配される人も多いです。
財産を処分した場合には、単純承認扱いになり、相続放棄はできなくなります。
一方で連帯保証人の責任があるため、自宅を明け渡さないと毎月の賃料相当額やさらに上回る損害金を支払う義務が出てきてしまいます。
形見分け程度は単純承認にならないとの判例
この問題については、財産価値がない動産の片付けならば、管理の範囲内として処分にならず、相続放棄が可能と言われます。
過去の裁判例では、一定の形見分け程度のものであれば、単純承認にあたらないとしたものもあります。
相続放棄で動産保管をすべきか
「財産を処分した」と言われるリスクをなくすのであれば、処分はせずに、部屋から別の保管場所に移動させれば良いことになります。しかし、これが現実的かといえば、微妙でしょう。
比較的、責任が発生するリスクを減らす方法としては、写真等の証拠を確保した上で、財産価値がありそうなものは別途保管、無価値なものを片付けて明渡という方法ではないかと思います。
保管コストがかからないような動産であれば、この方法が無難だといえそうです。
単純承認だと争われるリスク
片付けをしたことで、理論的には財産処分だと単純承認を主張されるリスクがありそうです。
ただ、実際に、そのリスクが現実になるかというと、債権者次第といえます。
なぜなら、相続放棄の効果を争うかどうかは債権者次第という構造だからです。
相続放棄が争われる場合の流れとしては、
家庭裁判所に相続放棄、受理される
債権者に通知など
債権者が単純承認があったとして、相続放棄の無効を主張し、相続人に対して民事訴訟を提起
となるでしょう。
しかし、実務上、被相続人の借金が、消費者金融、クレジット会社などの金融機関であれば、自宅の片付けをしたからといって、相続放棄の無効を主張し争ってくる可能性は低いです。単純承認事由を調査することも少ないのが現実です。
したがって、分かる範囲で、債権者にどのような業者がいるのか、およその金額などを調査し、どれだけリスクをとって行動するかを決めるのが現実的な解決策でしょう。
相続放棄を含めた家事事件のご相談は、ジン法律事務所弁護士法人までご相談ください。